脱獄の手引き#02
「なるほど。理解はできた。それじゃあとは目的地までどうやって辿り着くかを考えたらいいってことか」
「いやそれも心配はいらない。恐らくもうそろそろ監視はこの牢獄から出ていく。入口の見張りだけに切り替わるはずだ」
「何から何まで把握してんだな。訳ありだからか?」
「そうだな」
軽く笑って見せるガジットのいうことに従い、しばらく牢獄の中で過ごす。
ただ監視が居なくなるのがわかっていたのであれば、そのタイミングで忍び込めばよかったのではないかという疑問は残る。
ただそれは触れないことにする。
しばらく時間が経ったのちに、ガジットが動き始める。
「もういいだろう」
外の状況を確認する様子は一切ない。
「大丈夫なのか? まだ見張りが居たりしないのか?」
「大丈夫さ」
「そういうなら信じるが… それでどうするんだ? 地面に穴でも掘っていくのか?」
いくら冷気に弱く加工しやすいとはいえ、モグラ作戦だけは避けたい。
万が一の場合の撤退が困難になるからだ。
「もっと簡単だ」
鉄格子の端の壁に手を当てると、少しずつ隙間を広げていく。
気付けば鉄格子と壁の間に人が通ることが出来る隙間が出来上がる。
「さぁいくぞ」
先導して出ていくガジットの後ろを付いていく。
正直こんな簡単に脱獄をすることが出来るような環境でなぜ、今まで気付かれていないのだろうか?
ガジットがこの性質を知っているということは、他にも知っている者がいてもおかしくない。
それに何故監視がいない事が確認しなくともわかるのか。
もし知っているとしても、念のために確認をするのではないだろうか?
隼人が抱くガジットへの疑念は少しずつ強くなる。




