牢獄#02
「ここは?」
「牢獄だ」
確かに檻の様なものが見えなくもないが、そのすべてが確認できるわけじゃない。
「なんでここが牢獄につながっているんだ?」
「訳ありだからな」
「便利な言葉なんだな。それでこんな場所に何の用だ」
隼人自身も牢獄の情報を得られるのは、これとないチャンスでもある。
実際にゼロたちが連れていった人物にも興味があるからだ。
「聞き分けの悪い馬鹿が、今日この中に連れていかれてしまったからな」
「脱獄の手伝いでもするつもりか?」
「いや、俺はあいつから話が聞きたいだけだ」
隼人の目的の情報はガジットから聞き出せそうではあるが、ここまで来てしまった以上抜けるわけにもいかない。
「ここは罪人とかそんな奴らが入っているのか?」
「罪人と言われれば罪人かもしれないな。その罪の大きさに違いはあるだろうが」
「それで、どうやって下に降りるんだ? まさか飛び降りるってわけでもないだろう?」
飛び降りるにしては高すぎるし、地面の状況もわからないリスクもある。
それに監視もいるだろう。
「ここはあくまでも下が繋がっているのが確認できるだけだ。もう少し先に安全に下りる場所がある」
「なら早くいこう」
隼人の声に押されるように場所を移動する。
先ほどの穴から少し歩いた先に、段差を数段降りる形で下へと続く道がある。
高さ的には牢獄と同じ高さであることは、感覚で理解はできるが先ほどのように覗く場所もないため確認ができない。
「何にも見えなくなったな。というかこんな何人も通れるような大穴があったら、気付かれないのか?」
「あいつの事だから、気づいていながら放置しているのかもしれないな」
「よくわからないけど、そちらさんにも事情があるんだろうな」
深くは詮索しない。
それがこの二人の中ではいつのまにか、暗黙の了解になっている。




