訳アリ者同士#02
「となるとクラウディアのほうか」
「クラウディアに会いに行くのか?」
「会えたらそれは話が早いだろけど、今はまだ会うタイミングじゃない」
「お前も訳ありのようだな。いいさ、訳ありのやつは嫌いじゃない。そういえばもてなしがまだだったな」
少し笑った様子を見せる獣人は、部屋の隅に置いてある果物をらしきものを隼人に投げ渡す。
「そいつはこの国の特産品だ。うまいぞ」
投げ渡されたものは手から少しはみ出すほどの大きさで、少し楕円系で表面の皮はオレンジかかっている。
匂いは甘くどこかで知ったような感じだ。
「どうやって食べるんだ?」
「そのまま食べたらいい。ただ中に種があるから気を付けるといい」
そういうと獣人はもう一つを食べてみせる。
隼人も習ってそのまま齧ってみると、触った感じとはことなりオレンジ色の柔らかい果肉から果汁があふれ出る。
味はマンゴーに似たような感じだ。
「どうだ? うまいだろ?」
「あぁ、美味いな。ただ、皮がきになる」
「はっはっはっ! 人間には皮を剥いた方がよさそうだな」
「俺の名前は隼人だ」
隼人はこのやり取りの中で、名前を伝えてもいいと判断をした。
なにより危害を加えるつもりも、その気配も感じ取ることが出来ない。
「俺はガジットだ」
「聞いていいのかわからないが、ガジットはなんでこんな場所に住んでいるんだ?」
「俺も訳ありってことだ」
「それなら深くは聞かないでおく」
「さて、大した対応はできないが俺は少し用事があってな。ハヤトはどうする?」
この質問の意図は単純なものではないだろう。




