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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
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訳アリ者同士#01

「…なるほど。それでこの地へ足を踏み入れたと。ゼロがよく許したものだ」


「許してくれているってわけじゃないと思うけどな」


「そうすると、ここに連れてこられたのも嘘ではなさそうだな」


「嘘をつく必要がないからな」


「すまない。非礼を謝らせてもらおう」


 先ほどとは打って変わった対応に戸惑いながらも、隼人は話をする。


「あんたはなんでこんな場所に住んでるんだ?」


「ここに住んでいる方が勝手がいい」


 設備を見る限りでは確かに不便はないだろうが、利便に長けているとも思えない。


 ということは、相容れない特別な理由があるのだろう。


「それでお前が知りたいことはなんだ?」


「そのまえに、あんたを信用しているわけでないってことを伝えておく」


「いいだろう。それぐらい慎重じゃなければ、生きていけない。その上で聞こうか」


「あんたが知り得る中で、獣人を仕切っている奴らは何人いる?」


「どういう意味だ?」


「ゼロのような獣人が何人いるかって話だ」


「俺が知り得る中では2人だ。まず一人目はお前の口からでたゼロ。ゼロはここの集落を取り仕切っている。以前は別の奴が取り仕切っていたが、そいつはいつからか集落から姿を消し、今はどこにいるのかわからない。そして2人目はクラウディア。」


「クラウディア?」


「この前獣人街に戻ってきたという話だが、突然取り仕切りを始めたらしい。以前はそんなことはしない、大人しい女の子だったんだが、戻ってきた時には人が変わったようだった」


「俺が獣人街に行った時は、そんな名前も雰囲気も感じなかったぞ?」


「表立っているわけではないからな。目にすることなんてないだろう。ただお前の話は間違いなく伝わっているだろうな」


 2分しているそれぞれに、取り仕切りがいるのはわかりやすい。


 つまりそのどちらかが手を引いているということだ。


 もし仮にゼロだったとしたら、明らかに怪しい隼人を泳がせるメリットはない。

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