もうひとりの指導者#02
「クインが連れてきたのか?」
「うん、このお兄ちゃん困ってるんだって。リーダー助けてあげてよ」
「そうか。そしたら俺はこの兄ちゃんと話をするから、クインは外で遊んでくるんだ」
「えー! 僕も話をする!」
「もっと大きくなったら参加させてやる」
「むー! 絶対だよ!」
そういうと来た道を戻っていくクイン。
正直な話、ここにいてくれた方が助かると隼人は内心思っていた。
沈黙が重たく空気を支配する。
「さぁ、目的を話してもらおうか?」
「なんのことだ?」
「話すつもりはないってことでいいか?」
「ちょっと待て。何を言ったら信じてもらえるか分からないが、本当に目的なんてない」
どうしてこうも、この集落の獣人達は血の気が多いんだと呆れる隼人。
確かに治安は獣人街に比べると悪いと今更ながら感じている。
「ならどうしてここにいる?」
「ここってこの場所ってことでいいんだよな? 俺だってあの子に連れて来られただけだ。好きで来たわけじゃない」
「では何故、人間であるお前がこの場所にいる?」
「それは話せば少し長くなりそうだ」
隼人は顛末を簡単に説明をする。
自分が何故この場所に来たのかを、少しだけ隠しながら。




