強者#02
土煙が巻き上がり一切の視界を遮る。
「いっ…」
隼人は体に違和を感じとり、耳に手を当てる。
「音が聞こえない…」
「………」
ベルザが近寄り、何か話しかけているが一切聞き取れない。
それを察したベルザは隼人に何か術を施す。
「…聞こえる」
「無事でしたね、魔王様。障壁は張りましたが、全ては防ぐことが出来ませんでした」
「いや、ありがとう。助かった」
徐々に土煙が晴れ始め、ライカの姿を確認でき始めるようになる。
「はぁはぁはぁ」
さすがのライカも疲弊している。
これだけの威力であれば、ライカ自身の消費する魔力量も相当なはずである。
「グレイヴッツは生きてるのか?」
「竜族ですので死んではいないと思いますが、瀕死だとは思います」
これだけのものを直撃していて死んでいないというのは、さすが竜族ということだろう。
「さぁ話を聞かせてもらうよ。」
ライカが歩み寄る。
「!? ライカ様、避けてください!!」
ベルザが慌てたように声を荒げる。
異常な状況だということだけは、その一声だけで判断できた。
「一体どうしたっていうの?」
ライカが振り向いた瞬間、腹部を何かが貫いた。
「ライカ!!」
「なっ…! かはっ…」
口から血を吐き膝をつく。
「まさかここまで追いつめられるとは思ってもいなかった」
土煙から現れたのは全身に傷は負っているものの、両手足が竜化した姿のグレイヴッツだった。
「ライカ、お前は本当にむかつく奴だ」




