隠れ家#03
「付いてきてね」
そそくさと屈んで亀裂の中に入っていく子供。
隼人の意見などまるで関係ない。
呆れながらも隼人は四つん這いになりながら、亀裂の中に入っていく。
地面から巻き上がる砂が顔に当たるため、目をしっかり開けることすら困難だ。
時間にして大体5分ぐらいだろうか。
ひと際開けた空洞へたどり着く。
「くあぁーーっ」
大きな伸びをすると同時に当たりを見渡す。
灯り自体はないが、岩の切れ目から差し込む光で全く見えないというわけでもない。
「この先だよ」
子供が指差す先は道のようになっており、その先が続いているらしい。
「誰がこんな場所を見つけたんだ?」
「リーダーだよ」
「リーダー?」
「うん」
クラスに1人はいる、まとめ役の様な人物だろう。
特に子供ならそういう関係性が生まれていてもおかしくない。
「リーダーは凄いんだよ? 秘密基地を見つけたり、一人で竜を倒したりできるんだ。この前も竜の歯を見せてくれたんだ」
「へぇー それは凄いな」
それが本当であれば、ライカには聞かせることができない内容だが、子供によくある話だろう。
適当に返事をしながらどんどん先へ進むと、さらに広い空洞へ出た。
その空間はテーブルや椅子などの居住するには十分な設備が整っていた。
子供だけで準備できる範囲を超えている。
これが岩の空洞の中にあるといわれても信じれないだろう。




