隠れ家#02
「親はどうしたんだ?」
「隠れてなさいって言われたけど、嫌だったからこっそり出てきたの」
「それは困ったな」
「お兄ちゃん困ってるの?」
「困っているのは困っているが、それとはまた別の要因で困りそうな感じだ」
不思議そうな顔をする子供を見ながら、この状況を誰にも見られないことを祈る隼人。
子供たちを隠していたのは、きっと接触させたくなかったからだ。
それなのにこの状況を見られたら、正直悪化してしまう。
「そうだ困ってるなら付いてきて!」
「え?」
「早くっ!」
付いていくという行動すら、困る原因を深くしてしまうが、それは子供には関係ない話だ。
ただ騒いでいるところを気付かれて、見られるほうがいろいろと不都合になりそうだ。
隼人はしぶしぶと走り出す子供の後ろを付いていく。
場所は集落の裏に位置する場所らしい。
城壁の影になっており、風や砂で削れた岩がいたるところにそびえている。
その中のひと際大きな岩の前で子供は待っていた。
「遅いよ!」
「すまないな。それでここは?」
「絶対に内緒にしててよ? この先は僕たちの秘密基地なんだ。困ったこととかを解決する作戦会議ってのをすることがあるから、お兄ちゃんの困っていることも解決する作戦会議をしてあげる!」
そういう子供の後ろには、子供なら屈めば入ることが出来る亀裂がある。
大人が入るには四つん這いになる必要がありそうだ。




