隠れ家#01
「それじゃ俺はいく。お茶ありがとうな」
出されたお茶を一気に飲み干す。
グライジェが出してくれたお茶と似ていているので、抵抗なく飲むことが出来た。
「こんな粗茶ならまた飲ませてやる」
ゼロの家をあとにした隼人は集落の中を散策する。
やはり周りの視線は心地よくない。
「情報を集めるのも簡単じゃなさそうだな… まぁ、まずは歩み寄りだな」
悠長に情報収集をしている暇はないが、だからといって強行するのは得策ではない。
隼人は適当な獣人に声を掛ける。
だが返事はおろか、目すらも合わせることなく知らない振りをされる。
誰か一人でもと思い、声を掛け続けるが反応はどれも同じで、歓迎すらされていない。
人気もない場所で違う手を考えようとしていた所に、子供が声を掛けてくる。
「ねぇ、お兄ちゃんはなにしているの?」
「ん? こども?」
「ねぇ、ねぇ」
周りを見渡すが大人の影はない。
つまりこの子供が一人で行動しているということだろう。
それにしても集落を見て回っている時には見かけなかったが、ここには子供もいる。
当たり前の話なのだろうが、なぜかこの場所に子供はいないと思い込んでいた。




