統率者のゼロ#03
「おい、お前たち見てこい」
集団の中のリーダー核と思われる人物が、指示を出し5人がその場を離れて入口へ向かう。
それに合わせるように、中心にいる人物を運び出す指示も出している。
その様子を見ればかなり状況判断に長けているのがわかる。
「どこへ運ぶつもりだ?」
集団の一部が動く方向を注視するが、やはりこの場所からは正確に確認が行えない。
そうこうしているうちに、先ほど入口へ向かったうちの1人が血相を変えて帰ってくる。
どうやら入口の状況も良くないようだ。
「ゼロさん! 大変だっ!」
指示を出していたのはゼロと呼ばれているらしい。
「他の奴らはどうした?」
「女にっ!」
「女? どういうことだ? わかるように説明しろ」
息を少し整えて状況説明をしようとするが、それよりも先に元凶が現れる。
その姿は男とも女とも取れる容姿をしており、その手には自身の身長と同じ大きさの鎌を引きずっていた。
そしてどこかで見たことがある様な姿をしている。
「あ、あいつです!」
「やっほ~」
お互いの温度感の差が激しい。
片方は怯え、片方は呑気にしている。
「お嬢さん一体何の用があって、村の入り口とこいつらに手を出したんだ?」
ゼロが一歩前に出て対峙する。
それに対してあっけらかんとした様子で答える。




