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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
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はぐれ者たちの町#02

「それでなんの用じゃ?」


「爺さんに聞きたいことがあってな。知っていたらでいいんだが、最近獣人の中で動きが怪しい奴はいないか?」


「大雑把な質問じゃな? 怪しい動きとはなんじゃ?」


「いや、知らないならいいんだ」


「ふむ… お主が何を目的でそのような質問をしてきたのかはわからぬが、そういう輩が集まる場所は知ってるぞ」


「どこだ?」


「獣人街のさらに奥、位置的には王宮の裏に位置するかの。日も当たらないような、ここよりも劣悪な環境の場所じゃ」


「そこも獣人街なのか?」


「正確には獣人街ではないな。この街にも馴染むことが出来なかった問題を抱えた者たちが、集団となって築いた場所じゃ」


 グライジェの話からして、近寄るべきではないことは容易に想像することができる。


 法も何もない生殺与奪が自由に行われている場所だ。


「そこへ行くつもりか?」


「行かないでいいならそれが一番だ。ただ確かめないといけないことがある」


「そこへ行けば、知りたいことが知れるのか?」


「さぁどうだろうな」


 グライジェは表情一つ変えることなく、隼人を見つめる。


 それは真意を読み取るためにも思える。


「お主なら大丈夫か。ただこれだけは心に留めておくことじゃ」


 より落ち着いた声で隼人に話をする。


「あの場所で情は命を捨てることになる。躊躇わず、自身の身を一番に考えることじゃ」


「場合によっては最悪なケースも考えられるってことか」


「そうならんことを祈っておる。特に最近、その地の主格が帰ってきたという話を聞いておる。十分に気を付けることじゃ」


「ありがとよ。帰ったらまたお茶でも飲みに来るよ」


「とっておきを準備しておいてやろう」

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