はぐれ者たちの町#02
「それでなんの用じゃ?」
「爺さんに聞きたいことがあってな。知っていたらでいいんだが、最近獣人の中で動きが怪しい奴はいないか?」
「大雑把な質問じゃな? 怪しい動きとはなんじゃ?」
「いや、知らないならいいんだ」
「ふむ… お主が何を目的でそのような質問をしてきたのかはわからぬが、そういう輩が集まる場所は知ってるぞ」
「どこだ?」
「獣人街のさらに奥、位置的には王宮の裏に位置するかの。日も当たらないような、ここよりも劣悪な環境の場所じゃ」
「そこも獣人街なのか?」
「正確には獣人街ではないな。この街にも馴染むことが出来なかった問題を抱えた者たちが、集団となって築いた場所じゃ」
グライジェの話からして、近寄るべきではないことは容易に想像することができる。
法も何もない生殺与奪が自由に行われている場所だ。
「そこへ行くつもりか?」
「行かないでいいならそれが一番だ。ただ確かめないといけないことがある」
「そこへ行けば、知りたいことが知れるのか?」
「さぁどうだろうな」
グライジェは表情一つ変えることなく、隼人を見つめる。
それは真意を読み取るためにも思える。
「お主なら大丈夫か。ただこれだけは心に留めておくことじゃ」
より落ち着いた声で隼人に話をする。
「あの場所で情は命を捨てることになる。躊躇わず、自身の身を一番に考えることじゃ」
「場合によっては最悪なケースも考えられるってことか」
「そうならんことを祈っておる。特に最近、その地の主格が帰ってきたという話を聞いておる。十分に気を付けることじゃ」
「ありがとよ。帰ったらまたお茶でも飲みに来るよ」
「とっておきを準備しておいてやろう」




