はぐれ者たちの町#01
「爺さんを頼ってみるか」
隼人は急ぎ足でグライジェの元を訪ねる。
昨日案内をされた道をたどり、隠れ家がある場所にたどり着くが、何度見てもどこに入口があるのかわからない。
壁に手を当てながら、壁伝いに歩いていくと、その場所を見つける。
あたりの人影を警戒した後に中に入っていく。
中は静けさに包まれており、人がいない事を感じさせる。
「おーい、爺さん。いないか?」
部屋の中にいないのは確認できたが、念のために声を掛けるが反応はない。
もしかしたら部屋の奥に続く扉の向こうにいるかと思ったが、この様子では留守のようだ。
「居ないのか。どうするかな」
隼人が部屋を後にしようとした時、奥の部屋から物音が聞こえる。
それは何かがぶつかった音で、わずかに人の気配を感じることが出来る。
「そこにいるのか?」
隼人が奥の部屋に続く扉に手をかけて開けようとした時に、後ろから声を掛けられる。
「なんじゃ小僧来ておったのか?」
「爺さん」
隼人は扉か手を放し、グライジェに振り返る。
「その扉がどうかしたのか?」
「いや、物音がしたからこの中にいるのかと思ってな」
「物音? ミーナも出かけておるから、この家には先ほどまでお主しかおらんはずじゃ。もしやネズミかもしれぬな」
「ネズミ?」
少しの違和感を覚えながらもグライジェと話を行う。




