闇に堕ちる理由#01
「本当にいいんだな?」
「かまわぬ」
隼人は黒剣を抜くと竜眼を使い澱みを見つける。
「クレリセッチよ。もしこれで儂が去るようなことがあっても、この者は不問にせよ。罪に問うことは許さぬ」
「……かしこまりました」
「じゃあいくぞ」
集中を高めて正確に澱みを測る。
国王は寝た状態であることから、斬ることはできない。
そうなると貫く形で澱みを捉える必要がある。
「(澱みの根源はここで間違いない。核との距離は約2センチぐらいか?)」
1つ小さく深呼吸をおこない、狙いを定めて一気に黒剣を突き刺す。
「うぐっ!」
「国王様!?」
「大丈夫、見た目ほど痛みもない。あるのは吸われる魔力の脱力感ぐらいだ」
隼人は黒剣を抜き鞘に納める。
「確認できる澱みは消せた。恐らくこれで大丈夫だと思うが、体力の消耗が激しい。しっかり休ませる必要がある」
「助かったのか?」
「見た限りではな」
「……すまない。若き魔王よ」
「礼はいい。それよりも片付けないといけない問題はまだあるんだ」
コンコンと扉がノックされ、外から兵士が声をかける。
「クレリセッチ様」
「どうした?」
「お取込み中恐縮です。件の者を捕らえました」
「わかった。すぐに向かおう」
「なんだ?」
「こちらも問題の一つが片付きそうじゃ。ハヤトよ付いてまいれ」




