王が王である所以#02
「それで核は蝕まれておるのか?」
「…いや、そこまで進行はしていない。ただ、あまりにも澱みが核に近すぎる」
隼人が確認した澱みの根源は、ルクア国王の核のそばだった。
生命力を奪っているのだから、だいたい想像は出来ていたことではある。
もし澱みを消す際に核に触れてしまえば、ルクア国王の命の保証をすることはできない。
「それで、その方法を試す許可が欲しいと。そういうことじゃな?」
「助けるためにはこの方法しかない」
「許可する」
「は?」
あまりにも迷いなく出された答えに驚く隼人に対して、クレリセッチは言葉を続ける。
「…そう判断ができれば何も困らぬだろう。お主を信用していないわけではないが、これは許可ができぬ。退任されたとはいえ、ルクア様はこの国を支えてきた国王なのだ。現にまだルクア様を崇める民も多くおる。それを命の危険性があるのをわかっていながら、許可はだせぬのだ」
「…そうだろうな。ただ、これ以外は現状助ける策がないのも」
「十分に理解をしておる。このまま待っておっても、たどり着く答えは決まっておるのだろう? それならリスクを負ってでも試すべきだと。それもわかっておるのだ」
苦悩するクレリセッチの姿を見て、隼人はそれ以上の言葉を発しなかった。
「今日は帰ってもらえるか?」
「あぁ」
隼人が部屋をあとにしようとすると、クレリセッチではない声に引き止められる。
「やってよいぞ…」
「国王様っ! 一体何を…!」
「どうせこのままでは滅ぶ身じゃ… それなら託しても良いじゃろう…?」
「ですが国王様」
「儂が良いと言っておる」
隼人は静かに国王の側にもどり、改めて質問をする。




