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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
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サンドタートル#01

 隼人はその後もしばらく風を送り続ける作業を行う。


 確実にイグルー内の気温は下がり、涼しくなってきているのを感じることが出来る。


 ただそれが箱の中でどのように影響しているのかはわからない。


 それにたったこれだけの温度差で果たして、花の匂いが強くなるのかすらも未知数だ。


 指輪の力で無尽蔵に魔力を注げるとは言え、集中するのにも労力がいるのは間違いない。


 集中力が途切れそうになるなか、閻狐とミーナが変化を感じ取る。


「今、匂いがしなかった?」


「えぇ、確かに匂いがしました」


 人間とは異なるから感じ取ることが出来た微妙な変化なのか、それとも大きく変化が起こる前兆なのかはわからない。


 ただ変化が生じたということが、確実に進んでいる結果だ。


 そして開始してから30分後には、隼人も感じ取れるほどに強くなった匂いがイグルー内に充満していた。


「すこしキツイです…」


「うん、鼻が取れそう…」


「少し甘いような、ただそれでも嫌じゃない匂いがするな」


 入口から匂いが漏れ始めて砂漠を漂い始める。


「ダメ! ちょっと外の空気吸わせてください!」


 ミーナがイグルーから顔を出し、外の空気を吸うがすぐに顔を戻す。


「外は地獄か何かですか? 信じられないぐらいに暑いです!」


「この中が涼しいから、その分暑さを感じやすいだろうな。閻狐は外の空気吸わなくていいのか?」


「無理になったら剣に入るから大丈夫」


「それもそうだな」

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