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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
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夜香花#02

 隼人はそういうとその場にイグルーを作り出す。


 突如現れた建造物に、ミーナは驚いてはいたものの、特に質問をすることなくイグルーへ入る。


 隼人は花を摘みイグルーへ持ち込むと、さらに花が入る程度の箱を作り出す。


 その箱の側面にはよく見ると小さい穴が空いている。


 それを見たミーナは流石に質問をする。


「ハヤトは錬金術使いなの?」


「錬金術ってあの錬金術か? 俺のはそんな凄いものじゃない。簡単に説明をすると、一般的な魔法は魔力を放出して使う。火球とかそういう系統が想像しやすいと思う。俺はそこに形を持たせている。上級魔術師とかもできることだとは思うが、火球を細い針状に変えたりすることができるだろ? 俺のはそれが派生して、魔力に物質を纏わせて形作っている。このイグルーや箱だって、土系統の魔法に物質を纏わせて変化させているだけだ」


「ん~、鎧みたいな感じですか? 武器に魔法を付与するのではなく、魔法に武器を付与するみたいな…… それによって魔法が強化されている…?」


「そのイメージで間違ってないよ」


「なんとなくわかりました。それでどうするつもりですか?」


「これはあくまでも推測でしかないんだが、この花の匂いが夜に強くなるってのが気になってな。花の中には気温や湿度によって匂いが強くなるものがある。砂漠ってのは夜に気温が下がるんだが、そのタイミングで匂いが強くなるなら、可能性としては十分にあり得ると思ってな」


 隼人は花を箱の中に入れると蓋をして閉じる。


「少し砂が舞うかもしれないけど許してな」


 隼人は両手から風を放出させ箱を宙に浮かせる。


 器用にバランスを取りながら、決して落とさないように箱が浮き続けている。


「これだけで上手くいけば苦労はしないんだが」


「もしかして花を冷やしてるんですか?」


「できる限り外からの温度を遮断することで、花の温度を下げる目論見なんだがどうだろうな?」

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