探し物は魔獣ですか?#02
「とはいってもな。こんだけ見晴らしがよくても砂漠なんじゃ探すものも見つからないよな」
小高い丘から砂漠全体を見渡すが、どこまで行っても砂ばかりである。
「なんか手頃なサイズの魔獣はいないのか?」
「例えばサンドタートルとですか?」
「サンドタートルがどんなものかわからないけど、閻狐は知っているのか?」
「今のは僕じゃないよ?」
「え?」
そう言われて後ろを振り返ると、そこにはミーナが立っていた。
「サンドタートルってのは4本足で尻尾が生えていて、背中は硬い甲羅に覆われているんです。大きさはだいたい2メートル程でしょうか?」
「ミーナ。なんでここにいるんだ?」
「なんでって外にいくハヤトの姿が見えたから付いてきたのです。あと、そちらのお方は始めまして」
ミーナは隼人の頭に乗っている閻狐に向けて、礼儀正しく頭を下げると挨拶をする。
閻狐はそれに合わせて静かに頭を下げた。
「それでなんで魔獣を探しているのですか? ギルドからの依頼ですか?」
「ギルドの依頼じゃないんだけどな。ちょっと試したいことがあるんだが、それのためには中型の魔獣がちょうど良くてな」
「よくわかりませんが、中型だったらサンドタートルとかですかね? それを呼び出せばい良いんですか?」
「見たことがないからそれでいいかわからないけど、そもそも呼び出すってどうするつもりだ? 呼びかけたら出てきたりするのか?」
「意思の疎通ができるような魔獣ではないので、おーいって呼んだら返事するわけでもないですね。ただ誘い出すことはできます」
ミーナは砂漠を見渡して何かを探す。
一面に広がる砂景色の中に枯れた草や、水を必要としない植物が逞しく生えている。
恐らく知っているサボテンと同じ系統だろう。




