託す力#01
「あぁ違う。約束するさ。そして俺がこの状況を変えてやる。だから安心してくれ」
「はい…!」
「さて、そろそろ戻らないと危ないんだろう?」
「そうですね。戻りましょう」
ミーナが立ち上がり先に建物を飛び降りるのを見届けて、隼人もあとを追おうとすると妙な視線を感じる。
ただそれがどこからなのか、誰からの視線なのかはわからない。
この獣人街のどこかに、隼人をいま見ている人物がいる。
そして分かることは決していい気のする気配ではない。
「気持ちわるいな…」
隼人は急くようにその場をあとにした。
その気配の主はただ不気味に隼人たちが居た場所を見続ける。
そしてその人物だけ隼人のことを知っていた。
「見つけた… 魔王様…」
朝を迎えてグライジェとミーナに別れを告げて、隼人は王宮へ足を運ぶ。
門番に嫌な顔をされながら門を潜り、侍女にクレリセッチの場所へ案内をうける。
昨日の今日で何か特別に変わったわけではないが、一応として様子を見に来た。
隼人とクレリセッチが話をしている同時刻、竜の都ミストセルラルではライカが王の間に姿を現す。
とても落ち着いた様子で、それでもって気高さを感じることができる。
「本当にいいんじゃな? ライカ」
そんなライカにクィルが声をかける。




