月明かりの下で#01
「とりあえず話はわかったし、奴隷システムのなりたちも理解した。だからさ……」
隼人は二人の顔を見たあとに宣言をする。
「俺が変えてやるよ」
無意識で高ぶった感情に竜眼が反応をする。
それを見たグライジェは少し気圧される。
ただそれを悟られないように隼人に質問を投げかける。
「お主がどうやってこの状況を変えると?」
「あぁ」
「この深く根付いてしまった見識と関係を変えれるというのか?」
「任せてくれ」
ミーナとグライジェは顔を見合わせるが、二人に隼人の発した答えを見つけることはできなかった。
「ありがとうな。色々話を聞けて助かった。ミーナも元気でな。あんまり無茶するなよ?」
「ハヤト…」
「待て小僧」
「なんだ?」
「今日はもう遅い、明日ここを発つといい。最近は物騒で歩くことはオススメしておらん」
「私もそう思う… 思います。最近ここは日が落ち始めると、嫌な空気が流れるんです。それに、お礼がまだしっかりできてないので…」
「お礼って… あぁ、気にする必用はないぞ?」
「まぁそう言わずに大人しくいうことを聞いておいてくれぬか?」
「わかった。今日はは世話になる」
先程まであまりよくなかったミーナの表情が、花が咲いたかのように明るくなる。
よほど嬉しいのだろうか、無意識に耳がピコピコと動いている。
「私、ご飯の準備をしてきます!」
そう言うと立ち上がって部屋の奥に姿を消す。
隼人は冷えてしまった赤色のお茶を口に運ぶと、一口で諦めた。
これは口に合う合わないの話ではないと、身体の知らない器官が拒否反応を示しているの感じた。




