獣人街#02
年齢は分からないが、ミーナの容姿からしたらそう思われても仕方がないのかと、一瞬ばかり納得しそうになる。
ただそれであれば、この獣人はミーナを本当に見かけていることになる。
でなければ幼いという言葉は出ないだろう。
それならここはどうにか誤解を解くしかない。
「俺は奴隷商じゃない」
「奴隷商の奴らは全員そう言うさ」
それはまぁそうかと納得をしてしまう。
「急に信じてくれっていうのは無理があるのも理解しているが、本当に俺は奴隷商じゃない。なんならこの荷物を返しに来た」
ミーナの荷物を取り出すとそれを見せる。
ただそれ見たからといって説得力が上がるわけじゃないのはわかっている。
「俺は奴隷なんてものには興味もないし、できるなら友好的な関係を築きたいとも思っている」
「綺麗事だな。俺たちがそんな安っぽい言葉で、わかったなんて言うと思っているのか? これだから人間は嫌いだ」
この会話はずっと平行線で交わることはなさそうだ。
それだけ人間に対する信用はないということの現れだ。
振り切るにしても地の利は相手にあることを考えると、無闇に逃げ出すのは得策ではないだろう。
それにその行動がより一層の不信感を与えてしまう。
「どうしたらいい?」
「聞き分けがいいじゃないか。とりあえず持っているもの全部おいていけ。それで少しは信用してやる」
お金で解決できるなら安い物だろう。
隼人は懐から持っている金袋を取り出すと投げて相手の近くに落とす。




