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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
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獣人街#01

「あんた何か用か?」


「ちょっと人を探していてな」


「人間はあんた以外ここにいないぞ」


「そうじゃない。獣人の知り合いを探しに来たんだ」


「ふーん。そいつはどんな特徴なんだ?」


 ここで素直に話しても期待している答えは返ってこないだろう。


 それがこれまでの過去に刻まれた、人間と獣人の関係値だ。


 だが期待している答えが返ってこないとしても、歩み寄らなければ変えることができないのも確かである。


「ここに来た時には白いワンピースに大きめの麦わら帽子を被っていたと思う」


「ワンピースに麦わら帽子? あぁ、確か見た気がするなぁ。こんな場所でそんな姿をしているのは珍しいからな」


「そうか。どこにいるかわかるか?」


「この先に行くと果物を売ってる店がある。その店の横道に入っていったぞ」


「助かるよ」


 隼人は礼を言うと教えてもらったように道を進む。


「曖昧な記憶に対して明瞭な答え。まぁほぼ罠なのは間違いないだろうな」


 目印の果物を売っている店を見つけると、横道に逸れてそのまま進む。


 少しずつ静けさが深まった頃に背後に気配を感じることができた。


「なんのようだ?」


「それはこっちのセリフだ。こんな場所に人間が一人でなんの用だ」


 隼人が振り返るとそこには先ほど話しかけてきた獣人と、数人の獣人がいた。


 どうやら話しかけてきた獣人がこのグループのリーダーのようだ。


「さっきも言ったが人を探しに来たんだ」


「信用できないな。どうせお前も奴隷商かなにかだろ? 逃げられた奴隷でも引き戻しにきたのか? 幼い獣人は高く売れるそうじゃないか」

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