奴隷#01
「査定が終わったのでしょう。行ってきます」
「あぁ」
そう言うと受付に番号札を持っていき説明を受けたのに報酬を受け取る手続きをとる。
「預からせていただいたサンドワームの宝珠ですが、大きさは評価を落としていますが、形や色などとても良い状態でした。B評価での買取をさせていただきます。金額は金貨4枚ですがいかがしますか?」
「お願いします」
金貨1枚が銀貨10枚分であるとこと考えると買取は高い方だ。
少なくとも革袋一杯にトカゲを詰めて銀貨3枚よりは割がいい。
もちろんサンドワームから取れるほかの部位の素材を持ち込めば、追加での買取が期待をできるが、今回持ち運ぶのは現実的ではなかった。
「ではこちらで」
差し出された金貨を確かに受け取り、財布に入れて席へ戻ろうと振り返った時に他の冒険者とぶつかり後ろに倒れる。
完全な不注意だった。
「いたぁ…」
「おっとすまない。大丈夫か、お嬢ちゃ……」
立ち上がらせようと手を伸ばした冒険者の言葉が詰まる。
「いえ、すみません。私こそしっかり見てなくて」
そういって座り込んだままぶつかった冒険者の顔を見上げた時に血の気が引くのを感じた。
その冒険者の目は自分と違うものを見た、驚きと戸惑いの目をしていた。
ふと頭に手をやると、先ほどまで被っていた麦わら帽子は外れており、顔を横へ向けると隣に落ちていた。
「あっ……」
「どうして獣人がいるんだ…?」
「なんだどうした? げっ! なんでこんなところに獣人がいるんだ?」
ぶつかった冒険者の仲間だろうか?
異変を感じ取って近寄ったもうひとりがそう言葉を発した。
「獣人?」
「いま獣人っていったか?」
その言葉を聞いた他の人たちも口々に発し、その視線はミーナに集中する。




