少女との出会い#01
「まぁ丁度、町へ戻る予定でしたので問題はないですけど」
「そういえばなんでこいつに追われていたんだ?」
「好きで追われた記憶はありませんが、一方的な好意を持たれていたのかもしれません」
「いや、どう見ても捕食目的だったように見えたが」
「捕食? 誰をですか? もしかして私ですか?」
「だから追われてたんだろ?」
「私が捕食されるわけありません。実際に目の前には輪切りになったサンドワームの姿があります」
「いやまぁ、そうだけどそうじゃなくてな。というかこれはキミがやったのか?」
「言っている意味が分かりませんが、このサンドワームを倒したのは私です。ただ助力をもらったので、私一人で倒したのかと聞かれたら違いますが」
助力というのはおそらく隼人の攻撃の事だろう。
実際はなんの効果もなかったから意味はなかったが。
「どうやったんだ? こんな大きな相手を一撃でこの状態にすることは普通じゃない」
「そういわれても、この短剣でやりましたが」
ローブの中から短剣を取り出して見せてくれた。
実に普通の一般的な短剣にしか見えず、特別な加工が施されているとも思えない。
「さて、折角ですし回収をしていきましょう」
そういうとサンドワームの尾へ向かって歩き出す。
動かなくなった巨体をじっくりと観察をしながら何かを探しているようだ。
「ここでしょうか?」
短剣を抜き構えると瞬くまに胴体に斬撃を与える。
一瞬の出来事で何をしたのかしっかりと捉えることができなかった。
「良ければ手伝ってはもらえないでしょうか? さすがに私一人ではこれを動かすことができません」
「動かすって?」
「いまここの部分を切り離しましたので、動かしたいのです。もちろん謝礼は支払います」
「別に謝礼はいいんだけど、動かすってさすがに男一人が加わったところでどうにか出来るレベルじゃないぞ?」
切り離したとはいえ、一つ一つの部位はかなりの重量がある。




