砂漠の捕食者#02
一瞬怯んだサンドワームも、再び何事もなかったように対象に食らいつきにいく。
「やっぱりダメか!」
隼人は空中に砂を巻き上げ、それを凝縮と硬化を行い、鋭利なバレットを複数作り出す。
狙われている人物が少しでも時間を稼いでくれれば、まだしっかりと攻撃を行う時間を確保もできるがそうもいかない。
そもそも、この攻撃自体も間に合いそうもない。
サンドワームは既に獲物に対して接触を行い、その顔を地面につけていた。
「どうせ丸呑みだろ? それならまだ助けることが……」
隼人がバレットを打ち出そうとした途端、サンドワーム体が半分に切り裂かれ大きな音を立ててその場に倒れる。
一体何が行ったのが理解ができなかった隼人は呆然とするが、すぐに近くに駆け寄り状況の確認を行う。
「これは……」
サンドワームの断面は刃物で切られたように綺麗で、一太刀で迷いがないのが見てわかる。
辺りを見渡すと先ほどの人物であろう人がその場に立っていた。
遠くではわからなかったが、身長は低めで140センチぐらいだろうか。
かなり華奢な体付きをしているのが伺える。
「あんた大丈夫か?」
「………」
無言のまま立っているかと思ったら、自身の服を嗅ぐと余程嫌だったのが呻き声を上げる。
「うえぇぇぇぇ… 気持ちわるいですね… それに臭いです…」
声からすると女の子であることが分かった。
ただこの巨大なサンドワームを一体誰が両断したのかは不明だ。
この近くに隼人以外にも人がいたのだろうか。
隼人はあたりを見渡してみるが、人影らしいものは見当たらない。
「(この子が…? でも特に目立った武器を持っているようには見えないが… ローブの下に隠していたとしても、これだけ大きな相手を一撃で倒せるほどの武器を隠し持てるのか?)」
隼人の観察する視線に気づいたのか、感じが悪そうにする。
「なんですか?」
「いや、怪我はないかなって思ってな」
「怪我? 怪我はしていません。ただ少し不快ではありますが」
「まぁそりゃそんな姿なら……」
サンドワームの粘液や体液などでドロドロになっている姿を見て少し同情をする。




