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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
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砂漠の捕食者#01

 一体何が戦っているのか気になっていると、その片方の姿を視界に納めることが出来た。


 その巨体な体は大木のように太く、自身の体を高く持ち上げ獲物の頭上から攻撃を仕掛ける構えをとる。


 普段は砂の中に身を隠している為、目は退化しており、聴覚が酷く発達している。


 顔はまるでイソギンチャクの様な姿をしており、獲物を丸呑みして捕食する。


「あれがサンドワームか? 砂漠の捕食者の中でも上位に位置するって話だが、一体何と戦ってるんだ? こっからじゃよく見えないな」


 隼人は気配を察知されないように用心深く近寄り、注視するとサンドワームから逃げるように駆け回る人影が見える。


 サンドワームが巨大すぎて人影が子供の様に小さく見える。


「……いや、あれは子供か?」


 フードを被っていてしっかりと人物を確認することはできないが、体格的に子供である可能性が非常に高い。


「なんでこんな場所に子供が? しかもサンドワームに追われてるんだ? 今はそんなことより助けに行くのが最優先か」


 隼人はサンドワームに向かって駆け出す。


 接近中に掌に水玉を作りながらそれを細く伸ばし、冷却を行うことで氷柱を作り出す。


 距離にすれば射程圏内からは程遠い。


 どうにか逃げ切って欲しいと思っていた矢先、その思いとは裏腹に逃げいていた人影は足を止めて立ち止まる。


「ばっか! なんで足止めてんだ!」


 体力の限界かはたまた逃げ回っても無駄だと思って諦めたのか。


 その真意は分からないが、これでサンドワームが獲物に対して狙いをつけることができるようになったことは間違いがない。


「この距離届くか? なんて考えてる暇ねぇか!」


 隼人は作り出した氷柱を打ち出す準備を行う。


 しかしただ魔力で打ち出すわけではなく、そこに風魔法を合わせ打ち出す。


 突風で打ち出された氷柱はまっすぐサンドワームに向かって飛んでいく。


 一方サンドワームは獲物に対して食らいつく体制に入り、勢いよく上体を獲物に向けて突進を行う。


「させるかよっ!」


 サンドワームが対象に接触する直前で氷柱は顔の横を捉え、一瞬だが動きを止めることができた。


 人影は氷柱の飛んできた方を見て、隼人の姿を確認したようだ。


「凍れっ!」


 氷柱が当たった場所が少し凍結を始めるが、それはほんの一部でしかなく、完全に動きを止めるまでには行かない。

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