呪術と黒剣#02
「やっぱりダメだよな」
砂トカゲが封印術の負荷に耐えることが出来ないのだ。
隼人が試したかったことはこの封印術に関することだった。
「なるほど。隼人がしたいことがわかったよ」
うなだれる隼人の頭の上に閻狐が姿を現す。
「封印術にかかった相手を黒剣で解除できるか試すんでしょ?」
「その通りだ。もしそれが可能であれば、あの斑点も解除できるかもしれないって思ってな。あくまでもあれも魔力の影響なら、黒剣でどうにかできるだろう。ただそのための確信が欲しかったんだ。ただ、ここにはそれを試せるような相手がいないみたいだ」
砂トカゲの気配は相変わらずあるが、それ以外の気配を感じることはできない。
砂トカゲを捕食するような生き物がいれば、それを相手に試してみることはできるだろう。
「こんな食っても足しにならない生き物を好んで捕食する奴なんていなんだろうな。もしいるなら固い地面を掘り越すことが出来る爪を持った生き物か、姿を現したところを奇襲する鳥類だろう。それかこの先の見えない奥に何かいることを願って探すかだな」
どこまで続ているかわからないうえ、出会えるかどうかもわからない状況に踏み切ることはできない。
これなら砂漠地帯で探したほうが、まだ見つける確率は高いかもしれない。
「ひとまず戻って考え直すか」
隼人がその場を離れようとするとどこか遠くで爆発に似た音が聞こえる。
隙間から辺りを見渡すと王都へ向かうほうで砂煙が上がっているのが見える。
姿を見ることはできないものの、砂煙が上がるということは生物がそこ居るということだろう。
帰り道の途中であればついでに立ち寄ることも可能だろう。
「とりあえず、帰りながらあそこに寄ってみるか」
時間にして10分程度だろうか。
遠くで見えていた場所の近くに辿り着いたようだ。
向かっている途中にも数度爆発に似た音が聞こえては、砂埃が上がっていた所を見ると交戦中なのだろう。




