伝えられない事実#02
流石に城への出入りを自由にさせるなんてことは、普通であれば認めることはできないだろう。
ただ少しの信頼を得ることが出来ているのであれば、これからの関係性も望めるものが出てくる。
「……完全な自由とはいかないが、多少の融通であれば利かせよう。門番に私に会いに来たと言えば、城への出入りは可能にさせておく。ただ必ず私に会うことが条件だ。それを破るのであれば、今後一切の特例は設けない」
「十分だ。その時に爺さんを探す手間がなければもっといいんだけどな」
「それに関しては侍女たちに訪ねてもらえたら問題はなかろう。私はこれで失礼させてもらうが、特に問題を行なさなければもうしばらくここにおるといい」
「いや、俺も失礼するよ」
「なら外まで見送ろう」
クレイセッチに見送られながら王宮を後にした隼人はギルドへ足を運ぶ。
そして適当な魔物討伐の依頼を受け取ると、一度街を後にする。
受け取った依頼は町のはずれにある岩山に隠れ住む、砂トカゲの討伐である。
ここ最近数が増えてきており、今後を危惧して早期討伐をして欲しいという内容だった。
獰猛な性格をしており、あまり強くはないがそれに見合った報酬ではないことで人気がないと受付が言っていた。
目的地へ向かうために宿で支度をしていると、ぴょこりと姿を現した閻狐が隼人に疑問を投げかける。
「のんびり依頼をやってる場合なの?」
「閻狐か」
「会合に来ていないこと伝えないでいいの?」
「伝えはするさ。ただそれよりも先にしたいことというか、試しておきたいことがあるんだ」
「試したいこと?」
「ここの王様のことだよ。さすがに竜涙草が準備はできないとは言え、そのまま見て見ぬ振りはできないからな」
「でもどうするつもりなの? 呪術見たいなもので、治すことはできないんだよね?」
「それを試すわけさ。俺にはコイツとコレがあるからな」
閻狐に黒剣とベネスリング見せるが、理解に至ることもなく首を傾げる。




