繰り返す悲劇#02
クレリセッチがいう通り、腹部から左腕にかけた場所から少量の魔力反応を確認することができた。
間違いなくベルミナと同じものと考えていいだろう。
ただそれと同時に疑問も浮かび上がる。
あの時は羽うさぎを利用して、街全体の規模で症状が出ていた。
もちろん術を施された羽うさぎの全てが駆除されているわけではないだろうし、誤って口にする機会があるかもしれない。
だからこそベルミナでは当面、羽うさぎの肉を口にすることがない様に警告をしている。
それが別の国に流通することもあるかもしれないが、街の住民よりも先に国王だけがその症状を発症するだろうか?
「どうだ?」
「……あぁ、同じだろうな」
「それでは治すことが出来るのか?」
「正直に話すなら、今の状況じゃ助けることはできない」
「勿論無償でとは言わん。報酬は出そう。それに以前申し立ていた対等な盟約も交わすことも約束しよう」
「報酬とかそういうことじゃないんだ」
「では何故だ?」
「助けるための物が何もない」
「……詳しく教えてもらえるか」
隼人は竜涙草について話をする。
そしてそれが今、確保することが難しいことも含め。
話を聞いたクレリセッチは静かに肩を落とす。
「……」
「だからと言ってまだ助からないと決まったわけでもない」
「そうだな……」
そうはいっても一つの希望としていた道が絶たれたわけである。
クレリセッチの心境を察するのは容易だ。
「一つ聞いてもいいか?」
「なんだ?」
隼人は先ほど浮かんだ疑問を投げかける。




