繰り返す悲劇#01
「この扉を開ける前に再度確認をさせてもらいたい」
「なんだ?」
「この先で見たものは口外禁止であることを理解してほしい」
「そんなものを見せても大丈夫なのか?」
「でなければ話も先へ進まん」
少しの沈黙の後にクレリセッチは隼人に問う、本当に魔王なのかと。
「確認したいってのはそのことか? 質問の意図はよくわからないが」
「意図までは読み取らんでもよい。ただ答えてくれるだけで構わない」
「魔王で間違いない。他がどう思っているかは知らないがな」
「そうか」
ただ一言だけ確認の返事だけをして目の前の扉を開ける。
目に映ったものは大きな空間に似つかわしくなく、窓は一切なく重い空気が漂っており、ただ寂しげにベッドが一つ置いてある部屋だった。
それ以外は全く何もなく、いうなら隔離部屋のような印象を受ける。
そこにいる人間以外は誰も長居させないような雰囲気を感じ取ることが出来る。
そのベッドの上に誰かが寝ているようだ。
「まるで隔離部屋だな」
「あながち間違ってはおらんな。数日前より症状の悪化が始まり、医者の誰しもが手を挙げてしまった。名も知らぬ病故に、こちらとしても隔離する術以外なくてな。心苦しいが国王様にはここで過ごしていただいておる」
ベッドの上には眠っている国王の姿があった。
ただ以前会った時のようにベッドに寝ているのとは違い、目に見えて体調がよくないのが伺える。
「一体どうしたんだ?」
クレリセッチは首を横に振りながら隼人に言葉を返す。
「私たちにもわからないのだ。だがこれと似た症状を最近耳にし、それを完治させたという話も聞いた。お主を招き入れたのはそれが理由だ」
「その症状ってのは?」
「国王様の身体には紫色の斑点が出ておる」
「斑点の場所は?」
「腹部から左腕にかけてでておる」
「……少し視せてもらうぞ」
竜眼を使い国王の体を視る。




