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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
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老臣クレリセッチ#02

「よいのですか!?」


 門番が驚きの声を上げるがそれもそうだろう。


 身の上も知らない男を異例として王宮へ迎えるのだから。


「私が良いと言っているのだ。お前たちは引き続き警備を頼むぞ」


「はっ!」


 敬礼を行う門番の横を通り過ぎ敷居を潜ると、歩きながらクレリセッチに質問を投げかける。


 どうして通してくれたのか?


 それは純粋な疑問から来た質問だった。


「あのまま放置をしていれば、お主は以前のように力ずくにでも王宮に侵入しておっただろう? 後から起こる面倒を事前に沈めたまでだ」


「そりゃどうも」


「それにお主は魔王と名乗っておったのを覚えておる。到底そうは見えないがな」


 そう言い放ち笑う後ろ姿からは、余裕を感じ取ることが出来る。


「もしかしたらここで暴れるかもしれないぞ?」


「お主はそんなことしないだろう? ろくに歳は重ねておらん。お主の眼を見れはそれぐらいはわかる」


「……それで本当の理由はなんだ?」


 隼人は真意を問うために改めて質問を投げかける。


 面倒ごとを起こしたくないからという理由だけで、魔王と名乗っている男を快く王宮に招き入れる訳はない。


 その背後に隠れている目的を聞き出す。


「モンスでの出来事。国民にまでは届いていないが。各国の王を始め私たちの耳にも入っておる。ただその情報は全てではない。それを聞きたいのだ」


「たったそれだけで素性をよくも知らない人物を、王宮に招き入れるなんて許されるのか?」


「耳が痛いな。だがその件にはお主が関わっているのだろう? であれば重要人である以上、これは正当な判断ともいえよう」


「なんで俺がそんなのに関わらないといけないんだ? 国の問題ならその国が解決したんじゃないのか?」


「勿論、それが可能であれば越したことはない。しかし、どうしても無理な場合は、他の力を借りることもあろう。それに認めたであろう? たったそれだけで王宮に招き入れるのか、と」


「耳の良い爺さんだ」


「さぁ着いた」


 クレリセッチの後をついていくと一つの扉の前に着いていた。


 王宮内を把握しているわけではないが、この扉はなにかしら特別なものを感じることが出来る。

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