表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
210/314

蔑まれた一族#02

 

「あんまり詳しくは言えないが、俺が少しばかり特殊な力を使えるのは確かだな」


「特別な力?」


「まぁこれぐらいは見せても大丈夫か」


 そういうと右の手のひらを広げ、その上に野球ボールほどの水球を作り出す。


 水が乏しい環境で、すぐにここまでの水球を作り出すのは難しいのは隼人も理解している。


 ベルザから教えられたとおり、この世界で魔法を使うためには精霊王によって元素があり、それに対応した精霊から力を借りることになる。


 つまりこの環境下では火や風の精霊から力を強く借りることができても、水の精霊の力は弱く借りることがままならないのだ。


 だが隼人の身に付けているベネスリングに使われている、赤い宝石であるリコリスがその手助けをしているため、それが可能になる。


「驚いたな」


「これ以上は内緒だ」


 集まった水球を遠くへ投げ飛ばす。


「構わない。俺だって話せないことがある」


「理解が早くて助かるよ」


 会話が一段落したタイミングで地鳴りが起こり始める。


 その現象に驚きつつも、冷静さを欠くことなく状況把握を行う。


 すると少し離れ場所から黒い球体の先に鉤爪状の鋭い針がついた物が現れる。


 しっかり確認をすることはできないが、どうやら本体は砂の中に隠れているようだ。


「どうやら客が来たようだ」


「そうみたいだな」


 腰を下ろしたままそれが姿を現すのを待つ。


 全身に積もった砂を落としながら現れたその姿は、岩石のように大きな体に全身真っ黒な大きなハサミを持ったサソリ型の魔物だった。


「あれは?」


「クリーピングデビルって言われている、この砂漠では出会いたくない魔物の1匹だ。他にもあたりの植物に擬態して獲物を狙う厄介な魔物もいるが、こいつだけは別格に恐れられている」


「それは尻尾についている針に猛毒があるとかそんな理由か?」


「いや、毒は保有していないが、あの尻尾が理由の一つで分厚い鉄板も貫く威力を持っている。針で突き刺してくる際は、丁度今みたいに尻尾を動かす」


 そう説明があるとおり、何かを定めるような動きをしながら尻尾がゆっくり動いている。


 本体は動かないまま、ただ静かに尻尾を動かしながら狙いを定めるようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ