赤竜討伐作戦開始#01
「全員サラマンダを発見したら、無理をせずまずは伝令! 決して命を無駄にするな!」」
カイオルの檄で討伐が開始された。
この広大な森のどこかにターゲットが潜んでいる。
目撃されてからこの数日、サラマンダが森から移動した形跡はない。
「各自、作戦通り行動を開始しました」
「あの3人はどうしている?」
「一部の冒険者たち同様、フリーでの行動を取らせています」
「よし、監視だけは怠らないでくれ」
「はっ! …しかし本当にあの3人が」
「違うならそれで問題はないさ。それにしてもこれは何だ? 霧か?」
森の中に薄く白い靄が掛かっている。
「サラマンダの影響でしょうか?」
「足元も視界も不良か。あまり戦いには適さない状況だな」
そういうとカイオルも進軍を始めるのであった。
一方、隼人たちは同じく視界が悪い中森を進んでいた。
「それでライカ、どうする予定なんだ?」
「とりあえず話をしてみることにする。それで情報を聞き出すよ。そうすれば手引きしている人物のこともわかるかもしれないでしょ」
「であれば、誰よりも先に出会う必要がありますね」
「とはいえ、この霧じゃ視界が悪くてな」
先に進むにつれどんどん視界が悪くなってくる。
近くの木であれば目視できるが少し先になると霞んでしまっている。
「まぁ私がいれば探すこと自体はそんなに難しくないよ。特にサラマンダみたいに力があるドラゴンならなおさらね」
「そう言われてみれば、迷わずどんどん進んでるな。ドラゴン特有の何かがあるのか」
「まぁね。ただちょっと気になることもあるけどね」
「気になること?」
「うん、どうやら反応が1つじゃないような感じがする」
「どういうことでしょうか?」
「サラマンダの反応は間違えることなく感じ取れる。その近くにドラゴン… でも少し違う…」
ライカが言葉に詰まりながら悩んでいる。
「とりあえず、警戒すべき対象が1つあるって思ってて。その存在がなにか全く分からないけど。」
「そうか、わかった」
ライカに先導されながら森をさらに進んでいく。
既に同時に出発した他の冒険者や、騎士たちがどこにいるのかすらわからない。
ライカがいなかったら同じように森を彷徨うことになっていただろう。
「(それにしてもこれは本当に霧なのか? これだけ濃い霧にしては湿りがないし、吸い込んだ際の不快さもない。触れた木からも湿りを感じない)」
隼人は霧に対して疑念を抱きながらも先へ進む。
それからしばらくしてライカが足を止めた。




