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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
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魔王の正体#02

 あまりの突然の内容に一瞬驚くが、静かに次の話を待つ。


「ただその事実は載ることはない。まぁ載せれるわけ無いだろうな。人間は人間でも勇者の血を引いた人間だからな。もし少しでも触れる内容を出したら、深く調べる奴らもでてくるだろう。民衆に必要なのは魔王は魔族であり、勇者によって倒されたという事実以外はいらないんだ」


「なぜ勇者の血を引くような人間が魔王に?」


「それを今から話してやろう。と言っても、俺も聞いた話までしか教えてやることは出来ないがな」


 ベルンの口から隼人が見た先の未来の話が語られた。


 勇者だった者は魔王へ転じ、その力を使って四天王と呼ばれる者たちを集めた。


 元の魔王は失脚し、すでにその姿はない。


 集めた力で少しずつ人間達を恐怖へ陥れていくも、魔王は力を振るうたびに眠りに就き、目覚めるたびに姿を変え力を増大していった。


「元は勇者だから、力の根源が異なる分、消費する力も大きかったんだろう」


 そんな事を幾多も繰り返す中、ベルンはこちらの世界にやってきた。


 その時にはすでに人間と魔族は強固な敵対関係にあり、魔王不在時も四天王達が各々で統治していた。


 ベルン自身も慣れない世界環境の中で状況を理解しながら、力を得ている矢先でベルジェが突如訪ねてきた。


「戦ったのですか?」


「交戦はしたな。いきなり魔王の側近だという人物が現れて、そうですかって話では終われないだろう」


「それで……」


「惨敗だ。圧倒的な力の差で、埋めることは叶わないと思ったよ。死ぬんだなって思って諦めていたら、頼みがあるって言い出すから何事かと思ったさ」


 ベルジェは座り込んで死を覚悟していたベルンに対し、膝をついて頼みごとをした。


 魔王様を止めて欲しい、と。


「意味が分からないだろう? 自身の主を止めて欲しいと敵に頼むんだ。でもベルジェの目は真剣だった。だから俺は理由を聞いた」


 その問いに対して返ってきた答えは、親友だから、という一言だけだった。

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