ライカvsカイオル#03
カイオルの背中に人の姿をした影が現れる。
しかしその顔は面によって隠されており確認はできない。
俗にいう鬼と言われる角や牙が生えた赤や青の生き物とは異なる姿。
「なんだ、あれ…」
「ナイトクロスと呼んでいる」
現れたナイトクロスと呼ばれる鬼も手に剣を握っている。
ただカイオルに反して一切構えてはいない。
「鬼刃・一刀二閃」
カイオルの姿が消えその刹那、大爆発と衝撃波が発生する。
一切目で追うことが出来ず、一体どうなったのかさえも分からない。
会場全てが煙で包まれ状況が一切読み取ることもできない。
「ライカ! 無事か!?」
ライカがいるであろう方向に声を掛けるが、返事はがない。
徐々に煙が晴れ、人影を確認できるようになる。
煙が晴れるとそこには2つではなく、3つの人影があった。
「なに手出ししてるのよ」
「余計なお世話でしたか?」
カイオルとライカ、そしてカイオルの攻撃を止めているベルザがそこにいた。
あの一瞬で、ベルザが割って入り攻撃を止めていた。
「お、おい。何者だあいつ」
「騎士長の攻撃を止めた? どうやって?」
見ていた騎士たちも一体何が起こったのか整理が出来ておらずどよめく。
隼人も身を乗り出して言葉をなくす。
「でもまぁ助かったかも」
「私もライカ様が攻撃を止めて頂いたお掛けで助かりました」
カイオルの攻撃をベルザが細身の黒剣で防いでいる。
ベルザが戦っている姿を見るのはこれが初めてである。
そして一番驚くべきことは、ナイトクロスと呼ばれる鬼がベルザに剣を振りかざしていた。
それをライカが雷を爪状に形質変化させ防いでいた。
「黒剣…」
カイオルが体勢を戻し剣を鞘に納める。
それに応じてナイトクロスも剣を引き姿を消す。
「その剣は黒残影…?」
ベルザの手に握られていた剣は消えていた。
「いや、そんなはずはないか。試合は終わりだ、君たちの参加を認めるよ」
「ハヤト様。無事、許可が得られました」
「えっと、終わったのか?」
「試合はこれにて終了となる! ハヤト、ベルザ、ライカの3名を特例としてサラマンダ討伐の参加をここに認める!」
カイオルが場内に聞こえるように叫ぶ。
一瞬の間を置き歓声が上がる。
「お前らすげぇな!」
「頼りにしてるぞー!」
「ライカちゃーん、かわいいー!」
次々に声を上げて歓迎をしてくれているようだ。
「ということだ、三日後の討伐よろしく頼むよ」
隼人の肩をポンと騎士が叩きその場を立ち去る。
「ライカちゃん、大丈夫かい?」
「あんたが斬っておいて、よくそんなこと言えるね」
「返す言葉がないよ。では三日後に」
カイオルは翻し立ち去る。
「食えない男ですね」
「ベルザ、何か言った?」
「いえ、何も」
会場が歓声に包まれる中、隼人たちも闘技場を後にした。
翌日から隼人たちはギルド内で有名人となっていた。




