竜語を話す者#01
「グルゥゥゥ……」
「さぁ、少し話し合いをしようか」
その異様さにレムドラゴンは怯み、直感的に攻撃を控える。
カイオルはそのまま会話を続ける。
「こちらの言葉は伝わるかな? それとも全てのドラゴンが人語を理解し、喋れる訳では無いのかい?」
返事がない相手を前に、腕を組む形で左手で口を覆いながら、どうやれば意思疎通ができるか考える。
そうこうしていると、上空から男の声が聞こえ顔を向ける。
そこにいたのは翼を生やした人のような姿で、しっかりと確認をすることができない。
「こんなとこでドラゴンと人間が何をやっているんだ。まさかとは思うが、そいつを倒そうと思ってるわけじゃないよな?」
「いや、全くの逆だ。私はこのドラゴンと意思の疎通を行いたいと思っている。こちらに敵意がないことを伝えたい」
「それで人語で話してるってわけか? お前馬鹿だな」
そういうと理解できない言葉で喋りだすと、それに反応してレムドラゴンは男の方を振り向く。
おそらく竜語であるのは間違いないだろう。
会話が終わるとレムドラゴンは、再びカイオルの方へ顔を向ける。
「通訳してやるから話してみろ」
「あ、あぁ。私に敵意はない。ただこの辺りで雪角ウサギとホワイトボアを探していただけだ」
男が会話の間に入り、双方の言葉を伝える。
「それは悪いことをした。私を追ってきた人間の仲間だと思い、確認をする暇もなく攻撃を仕掛けた。だとよ」
「こちらこそ、勝手に近付いてしまってすまない。それより、人間に襲われたというのはどういうことだ?」
「東の地の森で休んでいるところを、装備を身にまとった人間達に襲われた。今はこの山で療養をしている途中だった。そこにその人間たちと似たお前が来た。姿は似ていないが、雰囲気が同じだった」
「東の地…… イサンダ王国か? 騎士たちがなにかの目的を持って、攻撃を仕掛けたと?」
「本当にお前たち人間はいつも勝手だな。絶対に勝てる相手というわけでもなく、害を及ぼしていない相手に犠牲を払ってでも襲いかかるメリットはなにかあるのか?」
それはレムドラゴンの言葉ではなく、空に浮かぶ男の言葉だった。




