魔力の核#01
人間と魔物が共存していた世界があり、それは人間の手によって終わりが告げられたこと。
その中心には二人の男の存在があり、その力を恐れた行為だったということ。
そしてそれを一人で背負うと決めた男がいたということ。
「人と魔物が共存している光景、今まさに目指そうとしている世界のようだ」
「なぜそんな光景を見せられたのかわからない。ただ俺は昔の光景を見せられたと思っている」
「そんなの聞いたこともないよ?」
この中でもっとも長命種である龍族のライカが聞いたこともない過去。
ライカの正式な年齢は知らないが、それでも聞いたことがないとなるとかなり昔か、本当にただのおとぎ話を見せられたかのどちらかだ。
「どらにしてもここを出るしかないようだ。目的の物が手に入らないということなら、敵も戦力の強化はないと考えてもいいと思う」
「そうだな。それにもしゼロの魔術書が手に入ったとしても、有してはいけない力だっていうことは理解できた。それこそ持った者によっては、世界を簡単に滅ぼすぐらいの力が秘められている」
「そうと決まれば、先を急ごうか」
カイオルは立ち上がると、簡単に装備を整えて準備を終える。
隼人もひとつ伸びをした後に立ち上がると、いつでも出発の準備は出来ている様子だ。
その傍らライカはまだ焼けた蜘蛛の足を食していた。
「と、その前にアイツを処理しておかないとだな」
隼人はゆっくりと悲惨な姿をした守護者であろう蜘蛛の元へ足を進める。
蜘蛛は近づく隼人に対して威嚇の声を上げるが、動くことができない相手に対して抱く恐怖心はない。
「剣を貸そうか?」
「いや、大丈夫だ」
「それならどうやってトドメを刺すつもりだい? 黒剣しか持っていないだろう?」
黒剣では相手の魔力を奪って衰弱させることはできても、直接殺すことはできない。
隼人が行うような魔力開放によって、黒剣に帯びさせた魔力で斬ることはできるが、この空間では魔力を扱うことができない。
現状だけで言えば、相手の息の根を止める手段を隼人は持っていない。




