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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
189/314

一人の王として#01

『これで意味がわかってもらえたかしら?』


『……もう、元に戻れない場所まで来てしまったのか』


『それにしてもすごいわ、この本。私たちが研究しても知ることができなかった事が沢山、記されているんだもの。さすがは聖遺物と呼ばれるだけはあるわ!』


『お前たちは私の死を願うのか?』


『あんただけじゃないわ。そこに転がってる化物もよ』


『理由を問おう』


『持て余す力はそれだけで凡人には恐怖なのよ。さぁお話は終わりよ! 死になさい』


 上空を埋め尽くすほどの巨大な火球が出現する。


 この辺り一体を焦土化させるだけでは済まないだろう。


『最高ねっ! これだけの魔法がこの一冊の本で、なにも魔力を消耗せずに使えるなんてっ!』


 男は倒れたまま意識を失っている男を一瞥した後に、女に視線を戻す。


 警戒をしながら周囲の軍勢は男を取り囲み、女も本を開きながらいつでも対応ができるように備える。


『少なくとも、私達はそんなつもりもなければ、考えも持っていなかった。このまま人と魔物が共存して行ける世界であれば、それ以上はなにも望んではいなかった』


 男を中心に黒い影が地面を染め上げる。


 その影に足を取られると一切の身動きがとれなくなる。


 影は倒れている男を包み込みその姿を守るような動きを取る。


『なによこれ! 動けないっ!!』


『しかし人は魔物を拒み、あまつさえ敵将の命だけではなく、力を持っているという理由だけで同族すらも殺める判断を下した。その愚かさは種を絶やさねば治らないだろう』


 あたりの軍勢から苦痛の声が上がり、次々と地面に倒れていく。


 一体何が起こっているのか、一人を除きその場にいる全員が理解をすることができない。


『スアーク:ラハード』


 隼人の視界すらも包み込んだそれは、大気を揺らすほどの劈く大声と深淵の闇を生み出した。

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