戦争#03
魔法使いまでの正面の道は、炎によって開かれており間合いを詰めるには絶好のチャンスである。
『はっ! バカじゃないの? 上に飛んだら狙ってくださいって言ってるようなもんじゃないっ!』
左手を再び向けなおすと、同じように炎を放出する。
『そんなに簡単ではない。スアーク:ユニオン』
地面に落ちている小石を拾い上げ、魔法使いへ向けて投げた赤黒い剣を持つ男は、同時に魔法を発動させる。
小石がまっすぐ魔法使いへ飛び、距離にして10メートル手前でその小石は、銀髪の男に変わる。
『クロス』
『なんでっ!?』
『じゃあな!』
一気に間合いを詰め斬り払う。
避けることもできず、確かに刃は女を捉えたはずだった。
しかし、斬り飛ばされたのは男の方だった。
『何が起きた? なぜあいつが斬り飛ばされた?』
『奇妙な魔法を使うじゃない。やっぱりこれを持ってきて正解だったわ』
そういうと女が取り出したのは一冊の本だった。
『なぜお前がその本を持っている? それはウィッチ達が管理しているはず。それにお前たちでは扱えないはずだ』
『お願いしたら貸してくれたわよ? ただ少しだけ聞き分けが悪かったけどね。でも、もう返す場所はないけど』
『どういう意味だ?』
『あぁ、そうそう。あとこの眼もくれたわよ』
女は右眼に掛かる髪を分けその眼を見せる。
左眼と色が異なり、紫色の水晶のような光を放っている瞳は異質さすら感じる。




