戦争#02
『私がここを受け持とう。それでどうだ?』
『この軍勢をを一人でって、強がり言ってんじゃねぇ! 二人で手一杯だってのに、一人になったらすぐにやられるぞ!』
『いや、私だけなら問題はない』
男の瞳は鮮血よりも赤く染まり、強い魔力を感じ取ることができる。
さすが魔法使いだろう、その異変にいち早く気づいたのは女だった。
『なに…? この嫌な魔力は…』
魔力に当てられた肌は、一瞬ではあるが確かに震えた。
『おまえ、その眼…』
『さぁ、いけ』
『そういうことなら任せたぞ』
『道は空ける。そのまままっすぐ突き進め』
その声に応じる様に軍勢にただまっすぐ、魔法使いへ向かって突き進み始める。
だが誰ひとりとしてそれを止めることができず、逆に男を中心に次々と倒されていく。
目の前に振り下ろされる剣は直前で弾き飛ばされ、そのまま斬り飛ばされる。
赤黒い剣を持つ男の瞳はさらに赤みを増し、魔力の異常利用による副作用でその眼からは血が流れ始める。
女はその異変に気付く。
『まさかっ! アイツこっちにまっすぐ突っ込んできてる!? ふっざけないでよ!』
左手をこちらに向かってくる男に向けると、強力な炎を放射器のように放つ。
もちろん、魔法使いの前方にいる軍隊にもその炎は浴びさられ、大きな叫び声が上がる。
『あの女、仲間も関係ないのか。おい! 上に飛べるか?』
『上に飛べばいいんだな?』
炎が当たるギリギリのタイミングではあったが、銀色の剣を持つ男は上に飛び上がると、その視界に魔法使いを捉える。




