喰らう者と喰らわれる者#03
「…殺さず脚だけをバラしたのかい?」
「動かなければなんだって一緒でしょ?」
ライカは手に持った脚を地面に置くと、散らばった蜘蛛の脚を拾いに行く。
それを見て、手に持った剣を収め続く。
ライカはなにも気にをしていないようだが、胴体の近くの脚を拾いに行くと、蜘蛛が怒りの奇声を上げている。
だが体を動かすことは一切できず、目の前で自身の脚が回収されていくのを見ているしかない。
「…君には同情するよ」
そうこうしている内にすべての脚を回収し終わると、ライカは辺りを見渡しさらに何かを探しているようだった。
直ぐに何かを発見したようでそこへ向かい、しばらくすると大量の布を手に帰ってくる。
「それは?」
「先駆者達の遺品。どうせ使い道もないしもらってきた。これをここにまとめておいてっと」
まとめて置いた布に持ってきていた松明から火を移すと、勢いよく燃え始める。
「うん、燃やすものは沢山あるしこれで大丈夫」
「…本当に食べるつもりかい?」
「どうせハヤトもしばらく掛かりそうだし、ゆっくり調理でもしながら待てばいいよ」
「……ハヤトは大丈夫なのかい?」
カイオルは宙に浮く本を目の前に座り込み、意識を失っている隼人を見ながら心配の声を漏らす。
それに反してライカは目の前の蜘蛛の脚を火にくべながら、着実に調理を進めていく。
「心配しても仕方ないでしょ。それに、ハヤトならどうにかするでしょ」
「…そうか」
カイオルは火を囲むように座り込み、少しの休息をとり始める。
パチパチと蜘蛛の脚が焼ける音を聞きながら。




