喰らう者と喰らわれる者#02
「……」
「どうしたんだい?」
ライカは手に持っている、蜘蛛の脚を見つめて何かを考えている様子だ。
「…あんた蜘蛛の脚って食べたことある?」
「へ?」
突拍子もない質問に対して、変な声が出てしまったカイオル。
どうしてそんな質問が来たのか意図もわからず混乱していると、ライカは言葉を続ける。
「見てよ、この脚。これだけ大きいなら、それを動かすための筋肉もあるってことでしょ? つまり、お肉が沢山詰まってるってことでしょ」
「うーん、騎士時代に行ったサバイバル演習の際に、昆虫を口にする機会はあったかな」
「それで味は?」
「しっかりは覚えていないが、想像していたよりも良いものだったことは記憶して…」
「美味しいってことじゃん! それがあと7本もあるってんでしょ? 最高にテンションあがる」
カイオルが全てを喋り終わる前に、言葉を遮ってライカは目を輝かせている。
そうこうしているうちに、体制を整え終えた蜘蛛が、こちらを再警戒しながら様子を見ている。
「そうと決まれば、サクッと食材集めしてくる」
言い終わると同時にその場から姿を再び消すライカ。
カイオルは言葉をなくし、ライカが消えたと同時に宙に浮いた脚を見つめる。
そしてその脚が地面に落下する前に、再びライカは姿を現すと脚をキャッチする。
「流石に一人じゃ持ってこれないから、回収手伝って」
そういうと蜘蛛の方を指差し、カイオルの視線を誘導する。
視線を向けるとそこには手足が四方にバラバラに散り、身動きも取れない蜘蛛の姿がそこにあった。




