喰らう者と喰らわれる者#01
『全然傷も負ってないみたいだし。そんなので人類最強の一族とか、笑いが出るんですけど?』
『お前は何者なんだ! どうやって現れた!』
『あはっ、そんなのいう必要ある? ていうか、質問が多すぎ。あんたモテないでしょ?』
嘲笑うように言葉を返す姿から、情報を聞き出すことはできなさそうだ。
ただわかっていることは、現状二人にとっては敵である可能性が高いということだ。
『さーて、無駄話をするためにここにいるわけでもないし? さっさと死んでちょうだい』
女は呪文を唱えると一気に辺りが光に包まれ二人の視界を遮り、次に目にした光景は各国の軍隊が辺りを包囲している光景だった。
その頃、巨大な蜘蛛と戦っている二人は少し苦戦をしているようだ。
「…硬いな」
夜叉と共に何度も斬りかかるが、相手の外皮が硬く傷すら付けることができていない。
それを蜘蛛の糸で地面に張り付けになりながらライカは見ている。
カイオルが近くへ戻ってきたタイミングで声をかける。
「ねぇ、ぜんぜん効いてないじゃん」
「どうやら物理耐性が異常に高いみたいでね。特にあの前脚の2本が厄介だ。それよりもその糸はどうにかなりそうなのかい?」
「仕方ない」
そういうとライカは一度目を瞑ると、口から火を吹き糸を燃やして立ち上がる。
「魔力妨害って言っても、別に体内で練り上げられたものまで使えないってわけじゃないみたいだし。それに…」
一瞬のうちにライカの姿がその場から消え、次にライカが元の場所で姿を現した時には、手に蜘蛛の前脚を1本持っていた。
「物理に強いだけで、効かないってわけじゃないでしょ」
蜘蛛も何が起こったのかわからず、ライカの持つ自身の脚を視認した後に奇声をあげ地面に落下する。
「虫は虫らしく地面を這いつくばってるほうがお似合いだよ?」
「ライカちゃん、その手足は…」
「あぁ、あんたは初めて見るんだっけ? 別に説明はいらないでしょ」
ライカは手足の竜化を行っており、それによって身体能力が向上している。
だがそれは、以前隼人と戦った時とは次元が異なり、より竜へ近い姿へなっていた。




