名もなき遺跡の守護者#02
「バッチリこの空間では魔力は使えないみたいだね」
「さて、ここの主に挨拶でもしにいくか」
入口は空間に対して横に作られており、入って左に深く広がっている。
視界が悪い中で頼みであるライカの魔力探知も使えず、手元にある松明だけが三人を照らす。
通路なのか部屋なのかすらも判断することもできず、歩き出すと不気味に足音だけが響く。
そのまましばらく進むと奥に青白い仄かな光が見え始め、近づくにつれその光は大きな広間を照らしていることに気付く。
「なんて広さだ」
「薄暗くはあるが、全く見えないよりは具合はいいか」
「ねぇあれ」
ライカは何かを見つけて指をさす。
その方向へ視線を向けると、台座のようなものがあり、その上で何かが浮いている。
それが何かは全員が知らないが、予測は一致しているだろう。
「それっぽくはあるな。ただもっと厳重に封印がされていると思っていたんだけどな」
「楽に越したことはないと思うよ」
「それはそうなんだけどな」
隼人はゆっくりと台座へと歩みを進めていく。
あくまでも慎重に辺りを警戒しながら。
「ハヤトはこの状況をどう見ている?」
「俺か? そうだな、あまりにも無防備だとは思う。もしかしたら、何か特殊な封印が施されているのかもしれないけど、そうだとしても他に守りを置かないってのはどうかと思う」
「つまり他にも何かあるはずだ、と」
「守護者辺りが出てくるのが定番だと思ってるよ。例えば上からとか…」
そう言いながら隼人に釣られて全員が上を見上げると、背後から何かが落下したような轟音が響く。




