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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.08~聖遺物とキストリン~
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名もなき遺跡#01

 遺跡といっても想像をしているような外観はしておらず、切り崩した壁に穴を開けたような遺跡だ。


 しばらく人の手が加わった様子はなく、遺跡の内部は明かりもない。


 誰が何のために作ったのかすらもわからない、遺跡内部は冷えた空気が充満している。


 たまに吹く風に松明の火を揺らしながら、ライカの魔力探知を頼りに足を進める。


「この先だね」


 一つの壁の前で足を止めるライカはノックするように壁を叩く。


 どう見てもその先に道はない。


「壁だな」


「そうなんだけど、この先に間違いなく部屋があるよ」


「壁を壊すかい?」


「壊して遺跡が崩れるってことはねぇよな?」


 軽く叩くと天井からパラパラと、小さな石が崩れてくる。


 その様子を見て全員が黙る。


「でもどうするの? この先に目的の物があるかもしれないよ」


「他に道はなさそうだが…」


「ん? なんだこれ?」


「何か見つけたのか?」


 隼人が松明で足元を照らすと、明らかに不自然な傷が地面に付いていた。


 それは何か大きなものが引きずられたような感じだ。


「ここの傷だけ進行方向に対して横に出来ている。ということは…」


 松明で照らしながら壁を触って何かを確かめる隼人を、二人は静かに見届ける。


 元の位置から三メートルずれた辺りで隼人は二人を呼ぶと、そこにある繋ぎ目を見せる。

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