魔王復活#03
「魔王様」
「デューヌか」
デューヌは手に持っている布袋を見えるように持ち上げる。
「なんだそれは?」
「人間から回収した生命力を吸収した魔石です。どうぞ」
デューヌの手から魔力で布袋を持ち上げ自身に寄せると、中を開け魔石を取り出し見つめる。
「(…かなりの生命力を集めた魔石のようですね。触れずとも感じられたことを考えると、魔物一万体分程でしょうか? これほどの生命力を人間から回収したということであれば、王国ひとつが失われているかもしれません)」
魔王はその魔石から生命力を全て吸収すると、力を失った魔石は灰色に変化する。
「ふむ…」
「いかがでしょうか?」
「足りないな。だが、幾分かマシにはなった。もう下がっていいぞ」
「…はい」
期待をしていたわけではないが、わずかでも労いの言葉を待っていたデューヌの表情は、落胆へと変わっていた。
その微かな変化に気付いたのはベルザだけだったが、そのことについて言及する訳もなく魔王との会話を続ける。
「ベルザ。これから一度、魔王国へいくぞ。このままでは時間がかかりすぎる。足りない分はそこで補給をする」
「…住む者たちを犠牲にするのですか?」
「人間どもの国へ侵攻もしない役立たずだ。少しでも役に立ってもらわなくては困る。そして力が戻り次第、人間どもには滅んでもらう」
魔王は椅子から立ち上がり歩き出し、そのあとをベルザがついてゆく。
「待っていろ人間どもよ。この私から世界を奪った礼をしっかりと返してやろう」
世界を絶望へ陥れる存在が、刻一刻と力を取り戻し始めていた。




