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魔王で始まる異世界生活  作者: 野薔薇 咲
Act.07~死の国、モンス王国と鬼神カイオル~
171/314

魔王復活#03

「魔王様」


「デューヌか」


 デューヌは手に持っている布袋を見えるように持ち上げる。


「なんだそれは?」


「人間から回収した生命力を吸収した魔石です。どうぞ」


 デューヌの手から魔力で布袋を持ち上げ自身に寄せると、中を開け魔石を取り出し見つめる。


「(…かなりの生命力を集めた魔石のようですね。触れずとも感じられたことを考えると、魔物一万体分程でしょうか? これほどの生命力を人間から回収したということであれば、王国ひとつが失われているかもしれません)」


 魔王はその魔石から生命力を全て吸収すると、力を失った魔石は灰色に変化する。


「ふむ…」


「いかがでしょうか?」


「足りないな。だが、幾分かマシにはなった。もう下がっていいぞ」


「…はい」


 期待をしていたわけではないが、わずかでも労いの言葉を待っていたデューヌの表情は、落胆へと変わっていた。


 その微かな変化に気付いたのはベルザだけだったが、そのことについて言及する訳もなく魔王との会話を続ける。


「ベルザ。これから一度、魔王国へいくぞ。このままでは時間がかかりすぎる。足りない分はそこで補給をする」


「…住む者たちを犠牲にするのですか?」


「人間どもの国へ侵攻もしない役立たずだ。少しでも役に立ってもらわなくては困る。そして力が戻り次第、人間どもには滅んでもらう」


 魔王は椅子から立ち上がり歩き出し、そのあとをベルザがついてゆく。


「待っていろ人間どもよ。この私から世界を奪った礼をしっかりと返してやろう」


 世界を絶望へ陥れる存在が、刻一刻と力を取り戻し始めていた。

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