霊宝剣#01
「まずはよくぞ無事に帰ってきたな、カイオルよ」
「はい」
「今回、国を襲った者たちの件についてじゃが…」
国王の言葉をカイオルが割って入る。
「それは私から話しましょう。彼女はゼロの魔術書というものを探すために、この国に潜り込んだようです。その過程で羽うさぎに呪いのような術式を設け、より自然に潜入できるようにしたと考えられます。そしてその手がかりを持っていたのが私でした」
そういうと一つの鍵を取り出して全員に見せる。
どうやら街を修復している騎士が見つけたものを、カイオルが回収していたらしい。
「文字通り鍵ですが、国王様はこの鍵がどこの鍵かご存知でしょうか?」
「ふむ、知らぬな」
「恐らくそうだと思います。すでにこの鍵の利用場所を知っている者はいません。私を除いて、ですが」
なぜそのような鍵を持っており、この城の主ですら知らない部屋の在処を知っているのか。
全員の疑問がその点に行き着く。
「詳しく話すことはできるのか?」
国王は自らその疑問をカイオルへぶつけると共に、回答を求める。
「恐らく使用人のメイド達ですらこの部屋の在処を知る者はいないはずです。この鍵は初代国王様が、同じく初代騎士長に送った鍵であり、それが代々騎士長へ密かに受け継がれているからです。というものの、扉の存在を知ったのは私も偶然なのですが」
本来伝わっていくはずの扉の存在は、代々受け継がれていく中で途切れてしまっていたようだ。
恐らく戦で命を落とした騎士長から引き受けた次世代に、その内容まで伝えることが出来なかったことが考えられる。
カイオルが鍵を受け継いた時には、お守りのような物だと言われるだけで、それ以上のことは何も言われていないらしい。




