鬼を背負う少年#03
『だ、だれ!?』
声が小さく聞き取ることができないが、この場所に自分以外の誰かが居ることに対する安心と、存在がわからないというそれに勝る不安が入り混じる。
声に集中をするも、風で靡く葉音に邪魔をされ聞き取ることはできない。
その中で少年は母親からの言葉を思い出す。
『祠の近くに隠れている時に、なにか声が聞こえても反応をしちゃダメよ。それだけは必ず守って。わかったら行きなさい』
そしてその声が自分が聞いている声だということに、気がつくのに時間はいらなかった。
『(母さんが言っていたやつだ。この声に反応をしたらいけない』
『…けて…か?』
声は少しずつだが、それでも確かにはっきりと聞こえてくる。
そしてその声が何を伝えているのかわかった時には、少年はその言葉に反応してしまっていた。
『助けて欲しいか?』
『助ける…?』
『あぁ、助けてやる。祠を開けろ。俺が全て終わらせてやる』
ダメだとはわかっていながらも、いうことを聞けば村が、両親が助かるという甘い誘惑を振り払うことができない。
気付けば祠の小さな扉に手をかけていた。
『さぁ、早く開けろ』
『……』
『どうした?』
『ほ、本当に助けてくれるの…?』
『あぁ、本当さ。全て片付けてやろう』
『…わかった』
躊躇しながらも手にかけた扉をゆっくりと開く。
その途中で見えないはずの何かが、扉の奥で狡猾な笑みを浮かべる何かを感じ、本能で開けてはダメだと扉を閉めるが既に手遅れだった。
僅かに空いた扉の隙間から飛び出した何かは、突風のように抜け出しいなくなる。




