鬼を背負う少年#02
少年が住まう村の東にある深い森の中には、昔から立ち寄ってはいけないと伝えられる祠が存在する。
しかし100年に一度だけは、祠を奉る儀が執り行われ、村の代表者の1名が奉納のために訪れる。
その祠には何があるのか、詳しく知る者も居らず、ただ仕来り通りに執り行われる。
そんな平和な村に突如として災厄が降りかかったのは、少年がまだ10も歳を重ねていないある日だった。
村の住人が寝静まった頃合を狙い、賊が押し寄せ村に火を放ち、虐殺の限りを尽くした。
少年が住む家は村の奥ですぐに被害は及ばなかったが、それも時間の問題であり両親は少年だけも助けるために祠へ逃げるように説得をする。
『よく聞いて! 家の裏から出てすぐに森の中へ入るのよ! その森の中には祠があるからそれを探してそばで隠れるの!』
『でもっ!』
『お願い! 私たちのお願いを聞いて!』
『父さんたちもすぐに追いかける。だから先に行くんだ』
『嫌だ! 父さんと母さんを置いていくなんてできない!』
『いうことを聞いて!!』
突然の母親の激に身体が少し跳ねる。
間近で見る母親の顔は、いつも見る優しい表情とは異なり険しい表情で、背中を強く押されるように家を出て祠を目指した。
どちらへ向かえば辿り着くのかもわからず、ただ泣きながら必死に祠を目指して走り続けた。
村から聞こえる喧騒が小さくなり、あたりが静まり返り始めると、暗闇が一層深くなる場所にポツリと佇む物を見つける。
『あれ…かな?』
誰も立ち寄ることがなく、その存在を知る者も限られる祠は、最近手入れをしたように綺麗に整っていた。
『誰も立ち寄ってはいけない祠… いいのかな…?』
近くに身を寄せると、低く掠れながら男の微かな囁き声が聞こえる




