決意#01
『一つ伝えることがあります』
『はぁはぁ…』
『これから世界は大きなうねりに巻き込まれ、平和な世界に終わりが来ます。もし貴方がそれを止めたいのであれば、魔王様の側にいてほしいのです』
『魔王…』
『ご存知のとおり、先ほどサラマンダの背に乗りここを去ったハヤト様です』
『あの男を止めれば世界が守られるのか?』
ベルザは静かに首を横に振り、カイオルの問いが間違っていることを示す。
『魔王を守れというのか?』
『あの方が唯一、対抗できる切り札となります。私が講じたことも、ただの時間稼ぎにしか過ぎず、世界崩壊の為にこれから各国で魔族が暗躍し始めます』
『…話を信じろというのか?』
『決めるのは貴方です。もし信じる機会が訪れたのであれば、北の国境付近にあるノイサム山へ行くといいでしょう。きっと貴方の力の助けになるでしょう』
『一体、お前は何者なんだ…?』
カイオルの問いには一切答えることなく、言葉を続けるベルザからは殺気はとうになくなっていた。
『考えておいてください。今はただ静かに眠っていてください』
寸前で止めていた剣を振り落とすとカイオルの意識はそこで途切れ、ベルザの行方は知らずじまいということだ。
カイオルの話を聞いた隼人は考える様子を見せる。
「あの日以降、徐々に今回の病が流行りだした。初めはお前たちの仕業だと思ったが、もしそうであれば、あの時伝えた意味が分からなくなる。だから可能性としてあの男の話を保留していた」
「…魔王が復活しつつあるのか、それか既に復活をしているが何か原因で動けない状態にあるか」
「魔王はお前じゃないのか?」
「正確に言えば俺は魔王じゃない。魔王を名乗るただの人間だ。これに関しては話すと面倒だから、そういうことで理解をしてくれ。つまり、本物の魔王が復活をしそうで、それを止めるためにベルザは動いていて戻ってこれていない」
そうなるとベルザは既に、隼人の正体が魔王でないことを知っていることになるが、この際その疑問は些細なことだ。
どうして魔王の側近であるベルザが、仕えるべきである本物の魔王の妨害をしているのか。
「解決するどころか、疑問ばっかり増えやがる。どうしてくれんだよ」
「八つ当たりをするな」
頭を少し掻き、溜息を一つ漏らす。




