止んだ雨
「くっ…!」
視力を失った左目を押さえながら、アーネルの元へ歩いていく。
5つ程建物の中を抜けるとぐったりと横たわるアーネルを見つけるが、同時にそのそばに小さい少女の姿を見つける。
「君… 危ないぞ」
「ほぅ、こやつをやったのはお主か。その体のどこに倒す力が宿っておるのか非常に興味があるが、それはまた今度じゃな」
「…あんた何者だ?」
「まずは名乗るのが先じゃろ? ただ妾はお主の名前に興味はないのでな、名乗らんでよいぞ」
動けないアーネルの襟元を握り引き起こす少女は、意識が戻らない事を確認すると興味をなくしたように手を離す。
隼人の方へ向きなおすと一言、アーネルの処理を申し出す。
「どうするつもりだ…」
「お主に関係があるのか?」
「そいつはまだ死んでない… この雨を止めてもらう必要がある以上、勝手にされるのは迷惑だ」
「これぐらい、どうということもないじゃろう。こんな雨で衰退するというのであれば、人とはなんと弱い生き物じゃ」
溜息を付きながら呆れた顔をする。
「心配せんでも、こやつが消えれば雨も止まる。自身の身体に核を描くという古風であり、最も強固な方法を使っておるだけじゃ」
「そんな方法が…」
「おしゃべりは終わりじゃ。蛇喰い」
アーネルの体の下から黒い塊が現れた後に包み込み、そのまま消え去ると同時に雨も止む。
その光景を見届けた後に一つの疑問を投げかける。
「…お前は敵か?」
「それを聞いてどうするつもりじゃ?」
「敵ならここで…」
「やめておくんじゃな。今のお主では相手にならん。命を無駄にするだけじゃ。それでもやるというのであれば容赦はせんぞ」
実力はどうであれ、隼人の状態では少しの時間も相手にならないは間違いないだろう。
手をひらひらとしながらその場を立ち去る少女は闇に姿を消してしまった。
その姿を見届けた後に力なくその場に倒れこむ隼人を、駆けつけた閻狐が発見し声を掛けるが反応はない。
次に隼人が目を覚ました場所は、全身を優しく包み天蓋に守られたベッドの上だった。




